So-net無料ブログ作成
リビア・パレット ブログトップ

第72回 「エジプト王権の成立 その3」 [リビア・パレット]

リビア・パレットを続けます。


下段左端の町は、

「2羽のホルス」を標章としています。

この標章は、上エジプト第5ノモスの標章です。

上エジプト第5ノモスにおいて、

古く、有力な町といえば

「コプトス(古名:ゲブトゥ)」

です。



町の中に見えるヒエログリフは、

おそらく「木」であり、意味もそのまま「木材」を指していると解釈します。


なぜなら、コプトスは、ヌビアに近く、交易の要衝です。

エジプトは低い灌木が主で、多くの木材は輸入に頼っていました。

輸入先は、「レバノン杉」で有名なレバノンのほか、

ヌビアも有力な輸入先でした。



もしかすると、下段左端はコプトスであり、

町は木材の市があったのかもしれない、

そう思いました。




さて、ここまでを整理すると、

上段右端   町:ネケン(ヒエラコンポリス) 標章:ネケニ(ホルス) 目印:ネクベト女神(の神殿)

上段右から2つ目  町:ジェフウト(ヘルモポリス) 標章:破損(野兎?) 目印:ジェフウティ(トト)神殿

下段左端   町:ゲブトゥ(コプトス) 標章:2羽のホルス 目印:木材(の市)


となります。



残りは4つ。


この中には、おそらく、古く有力な町の名が入っているはずです。

その町の筆頭は、

「ティニス(ティスとも)」

だと私は考えました。




ティニスは、初期王朝時代の王の出身地として知られていますが、

後に上エジプト第8ノモス一帯に属します。

この第8ノモス一帯は、「ライオン」の守護神を戴いていました。

あまり馴染みがないかもしれませんが、

「オヌリス」という雄のライオンの神と、

「メヒト」という雌ライオンの夫婦としての解釈もある神です。

パレット下段右端の標章は、

たてがみが見えますので、雄のライオンに思えます。

テフヌトやバステトやセクメトなど雌ライオンの姿をした女神が知られており、

雄ライオンの神といえばオヌリスです。



もし、下段右端がティニスだとすると、

町の中に見える両手を高く差し上げたヒエログリフは何でしょうか?

一般的には、これは「カァ」です。

素直に受け取れば、「魂」という意味です。



「エジプト」という名前は、

「フゥト・カー・プタハ(プタハ神のカァの神殿)」のギリシア読みが

変化したものだと言われています。

「カァの神殿」

そういうものがあったわけです。



この「フゥト・カー・ブタハ」を「ブタハ神の魂の神殿」と訳す人もいますが、

中には「ブタハ神の故郷の神殿」と訳す人もいました。



「カァ」には、もしかすると「原点」「故郷」といった意味があるのかもしれません。


ただし、確証が持てないので、ここは解釈を保留といたします。


下段右端  町:ティニス(ティスとも) 標章:オヌリス 目印:カァ








nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

第71回 「エジプト王権の成立 その2」 [リビア・パレット]

「リビア・パレット」でネケン以外の町を見てみましょう。

tehenu.jpg

上段右から2つ目の町は、上部の動物が破損しています。

しかし、町の中にトキ(後世ではアフリカ・クロトキ。ただし頭の毛が似ていない)がいます。

トキと言えば、後のトト神です。

トトは、もともと「ジェフウト」の町の「ジェフウティ(ジェフウトのもの、の意)」です。

町中にトト神殿があったという意味でしょう。

すると、この町は後にギリシア読みで「ヘルモポリス」となった「ジェフウト」である、

と考えることができます。

(トトがギリシア神ヘルメスと解釈されたため、ヘルモポリスとなった)



しかし、ここで問題があります。

ヘルモポリスは、上エジプトと下エジプトの2か所にあるからです。

どちらもトトを守護神としていました。

上エジプトは「ヘルモポリス・マグナ(大ヘルモポリス)」

下エジプトは「ヘルモポリス・パルヴァまたはミクラ(小ヘルモポリス)」

です。



さて、どちらでしょう?


ここは、順当に上エジプトの方としておきましょう。


ナカダ3期で下エジプトと強固に結んでいたとすると、

7つの町だけというのは無理がありますから。

ミクラはマグナの後にできたと考えます。



そして、破損している都市の上の動物。

下段左下を見ます。

2羽の鳥がいます。

これらの鳥は、

おそらく隼であって、

上エジプト第5ノモスのトーテム(標章)となっています。

上の動物がトーテムであるとすれば、

ヘルモポリスは上エジプト第15ノモスにありますので、

そのトーテムは「野兎」となります。

破損している部分には、おそらくウサギがあったことでしょう。



当時は、数多くのノモスはありませんでしたが、

古く有力な都市のトーテムが、ノモスのトーテムとなっていったと考えると、

第15ノモスのトーテムは、

ヘルモポリスに由来したものと推測できるのです。


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

第70回 「エジプト王権の成立 その1」 [リビア・パレット]

ピラミッド建造の謎に迫るためには、

エジプトにおける王権の成立過程を見ていく必要があると思われます。



そこで今回は、第1王朝直前の先王朝時代後期である、

「ナカダ3期」の儀式用パレット、

「リビア・パレット(テヘヌ・パレット)」を見たいと思います。


tehenu.jpg


上段の動物が載っている凸凹の四角は、

それぞれ町をあらわしています。

つまり、このパレットは、連合する7つの町を示しているのです。



下段はその裏面になります。

上から「牛」「ロバ」「羊」「木」の順で並んでいますが、

これらは、王に対する貢納品、

つまり「税」ではないかと考えられます。



表面(実際にはどちらが表かわからないのですが・・・)に戻り、

町を見ていきたいと思います。

まず、なぜ上に動物が載っているか、ということを考えたいと思います。

ヒントは、それぞれが持っているこのヒエログリフ。

U6.gif

これは、所謂「サソリ王のメイス(棍棒)ヘッド」

scorpion.jpg

で、サソリ王が手にしている鋤です。


これは、ヒエログリフでは「愛する」「耕す」などという意味があります。


そこから「守護する」や「開拓した」などという意味を想像することもできますが、

はっきりとした意味はわかりません。

ただ、町の存在にとって、上に載った動物が重要な存在であるということは、

推測できます。



私が注目したいのは、上段右端の隼です。

もちろん、「ホルス」であると考えるのがふつうです。

ホルスの下の町の中には、

ハゲタカが見えます。

これは「ネクベト」でしょう。

前回述べたように、ホルスの元の名前は「ネケニ」です。

「ネケンのもの」という意味になります。

「ネクベト」は、ネケ二の女性形になります。

ですから、この町は「ネケン」、

今でいうところのヒエラコンポリスとなります。


(つづく)


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問
リビア・パレット ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。